首が傾いてしまう斜頸はうさぎに多く発症する病気です。
ここでは、うさぎの斜頸について詳しく紹介します。
斜頸の原因や治療、さらには普段の生活についての注意点などをご紹介します。
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うさぎの斜頸について
「斜頸」はうさぎの首が傾いている状態のことを指します。
意外なところなのですが斜頸は病名ではないようです。
また、斜頸はうさぎ特有の現象でもありませんから斜頸=うさぎという表現も違うということですね。
斜頸というとうさぎの専売特許のように思う人も少なくないのですが、犬や猫、さらには人間にも起こるということです。
斜頸は、簡単に表現すると平衡感覚をつかさどる「前庭」という特殊な器官に問題があるために起こるとされています。
それでは、前庭というのはいったい何でしょうか。
平衡感覚をつかさどるということですが、有名な言葉で「三半規管」を聞いたことのある人も多いでしょう。
耳には鼓膜がありますが、鼓膜の内側には中耳と呼ばれるものがあります。
その奥に内耳と呼ばれるものがあり、前庭は内耳の中に存在します。
内耳は三半規管と蝸牛と呼ばれるもの、そしてその間に位置する前庭からなっているのです。
内耳の構造を詳しく紹介すると、前庭には卵形嚢と球形嚢というものがあります。
この二つはそれぞれ水平運動と垂直運動を感知する働きをしているのです。
三半規管は回転運動を感知する働きがあり、前庭と三半規管で平衡感覚を感じ取る器官ということになります。
これに対して、蝸牛というのは、聴覚に関わる器官なのです。
うさぎの斜頸、眼振、そしてローリングに関わっているのが前庭です。
そうすると、前庭での平衡感覚機能が正常に働かなくなるので、眼振やローリングが起こりやすくなるのです。
そして首が常に傾いた状態が斜頸ということですね。
前述していますが、斜頸は病名ではありません。
首が傾く現象のことを指しています。
斜頸の症状と対処法
斜頸の初期症状というのは、うさぎが床に倒れてそのまま横にゴロゴロと転がる、眼振(がんしん)という状況になります。
眼振は、うさぎの意思とは関係なく眼球が左右あるいは上下に揺れ動くことです。
ローリングは、眼振とは違って目を見開いて、驚いたような表情をします。
かろうじて立っている状況で脚のふらつきも見られるのです。
うさぎの体もやや低姿勢となってローリングが始まります。
そこから、腹ばいの状態になって、一気にぐるんと1回転するのがローリングです。
そして、また腹ばい状態で、すぐにまたローリングするのです。
ローリングが始まったときの対処法
ローリングが始まったときにしなくてはいけないのが、うさぎの安全確保です。
うさぎはローリングや眼振によって、状態がパニックになっています。
自分の意思とは関係なく回っているので、ケージ内のあちこちにぶつかってしまうことでしょう。
そうなると、怪我をする可能性が非常に高くなります。
そのときは、うさぎを抱っこするようにして、周りを柔らかなクッションなどで覆って、小さな空間に入れてあげるようにしましょう。
大きい空間だとさらに見境もなく転げまわってしまうのでクッションや毛布などで覆った小さい空間がいいですね。
ダンボールくらいの大きさが最適です。
できるだけ早く受診
パニック状態になったら、落ち着いたところで、できるだけ早く病院の先生に診てもらいましょう。
初めて斜頸などでローリングが始まったときから、投薬などの処置が早ければ早いほど、うさぎの回復の可能性が期待できるのです。
そのため、うさぎが斜頸によってローリングをし始めたら、とにかくすぐに診てもらうようにしましょう。
診てもらうまでは、うさぎがローリングしても怪我をしないような処置をとることが大切です。
この状態のときは、うさぎは餌を食べないので、こまめに水分補給をするのも忘れないようにしましょう。
できれば食事もとらせたいのですが、自力では食べないと思います。
おそらく、ペレットを口元に持っていっても食べないです。
斜頸そのもので命を亡くすことはないということですが、パニックになってずっとローリングを続ける場合もあります。
斜頸で食べることができなくなって、命を落とすうさぎは少なくないのです。
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斜頸の原因は?
うさぎ斜頸になる原因はいくつかあります。
中耳・内耳からの感染が原因となることがあります。
外耳から感染して、次第に中耳・内耳への感染の広がるのです。
そうすると、上気道感染、さらには鼻腔や血流からの感染が考えられるのです。
感染部位から見つかる細菌の種類は様々なものがあります。
細菌感染によっては、通常でしたら抗生剤を投与して、薬の服用で改善します。
抗生剤での効果を期待するには、できるだけ速やかに病院へ行くことが肝心です。
処置が早ければ早いほど、抗生剤の効果が期待できるということです。
脳卒中などの脳血管障害が原因に…
脳血管障害でも、うさぎ斜頸になることがあります。
脳血管障害というのは、脳の血管が詰まったり破れたりして、血管に異常が現れる症状のことです。
人間では、一般に脳卒中と呼ばれているものですが、通常の状態ではうさぎにこのような疾患の診断を下すのは難しいようです。
脳血管障害の場合、死に至る確率は高いということですが、幸運にも死にいたらなかったとしても、半身が思うように動かなくなるようです。
身体の左右どちらか半分が動かなくなると、顔の半分には力が入らずよだれを垂れ流すようになるでしょう。
歩くのもまっすぐ歩けずにクルクルまわるだけになります。
脳血管障害が原因の場合、抗生剤は細菌感染の予防目的で飲ませることはあっても、ここから症状を緩和あるいは完治する効果はありません。
外傷による斜頸
顔や首、さらには頭の打撲によって、脳が損傷することで斜頸になることもあります。
うさぎは臆病な生き物ですから、びっくりしたときなどパニックになって怪我をすることが多いです。
それが原因で斜頸になることも多々あるのです。
外傷の程度にもよるのですが、その場合の治療法としては抗炎症剤が回復を早めてくれるようです。
癌(腫瘍)による斜頸
脳や首、さらには耳に腫瘍ができることで、斜頸の症状が現れることもあります。
この場合は対処のしようがありません。
斜頸の場合家でのケアはどうしたらいいの?
うさぎの斜頸について家でするべきことはなんでしょうか。
まずは食事の介助となります。
うさぎの食欲は毎回チェックするようにしましょう。
斜頸がひどいときは食欲が落ちていきます。
また、前述しているようにローリングがひどくて、全く食べられなくなることもあります。
というよりも、前後左右がわからなくなって食べることができないケースのほうが多いかもしれません。
ですので、常にうさぎの状態を観察して、きちんと食べているか、水を飲んでいるかを確認するようにしましょう。
食べる量が減ってきたら、食事を介助しなくてはいけません。
口元に持っていくだけで食べてくれるのであれば安心ですが、食べれなくなるときもあります。
ひと工夫が必要な場合もあるでしょう。
ひと工夫の例として、ペレットを水でふやかして与えてみるとかですね。
その場合はスポイトなどでうさぎの口の中に流し込むようにしてもいいでしょう。
とにかく、食べさせることが大切です。
斜頸の場合はとにかく餌を食べることができるかどうかがポイントになります。
ここをしっかりとクリアするようにしたいですね。
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